昨秋完成した『Doll Fever』でしたが、商業出版に伴うキャラクタードールに派生するモデル料等の関係で、創作ドールで撮ってみてはとのアドバイスを頂き、テーマも一新し大正から昭和へと、、、佳き時代の面影をドール(塑像27cmドール、22cm&19cmパテ盛りドール等々)に手繰り寄せ編んでいます。人生に無駄はないと言われるように、エンジンがかからなかった昨冬には想像出来なかった程、新たな発見や出会いの中で、多くの方々に生かされ、このプロジェクトを楽しんでおります。
人生は長いようで短い束の間の旅路。つい最近も若い方が急逝したり、電話ごしに元気なお声を伺ったばかりの知人が、回復が見込めないまま病に臥せったりと、、、心に重くのしかかる生命の尊さです。ですからこのようなやり直しもきっと有意義に違いありません。
沢山の道草をして、思いやる心、感謝の気持ちを大切に、ゆっくりと今日を生きてゆきたいものです。(画像:乱れ髪 Copyright © 2022 Chieko Tanemura)
2021年第16回白黒写真スパイダー賞
2021年 ipa国際写真賞
イギリス『BIKE』誌 Karoly Nagy氏によるインタビュー

2021年第14回国際カラー写真賞
Dear Chieko,
CONGRATULATIONS on being a Winner at the 14th Annual International Color Awards with:.
Honorable Mention in Children of the World | Amish Boy in Class
英国『BIKE』写真コンテスト
日常生活の自転車風景 2021年度賞 受賞
明けましてあめでとうございます。
長々と空白のまま、、、無為に時が流れてゆくような、コロナ渦、
予期せぬ暗黒の日々は、世界中に暗い影を落としているようです。
身内の手術入院で三ヶ月の東京生活、2019年友人が母校のキューバ研究の教授にアレンジしてくれる予定だった冬のキューバ撮影旅は中止。マイアミでのコロナ拡大。2020年のカナダ・マニトバのハテライトの取材もままならぬまま、
アメリカの収束はトンネルが見えず、、、大変な時代となりました。
さて 『薫衣草の花束』英語版は2020年春、日本語版も昨年末原稿は書き終えたのですが、画像の差し替え、イラストレーターのトンボ変換の不具合等で、少々手こずってしまいました。
明日が見えない、不確かな日々ではありますが、
目前の最善を尽くし、一歩づつ歩いてゆきたいものです。2021年1月
v
2020年第15回白黒写真スパイダー賞
2019年第14回白黒写真スパイダー賞
2019年ipa国際写真賞
2019白黒写真Monovisions賞
2018年ipa国際写真賞・ストリート写真
2018年・年の瀬
– 住めば都 –
今年は、半端なく怖い経験をした。
アーミッシュ村で暮らし始めてまもなく、想定だにしなかった散弾銃、ロケットランチャーの威嚇を受けたのだ。床が揺れて物凄い爆発音がし、肝を冷やすを通り越し、プロジェクを続行する勇気も失せ、速退散したい衝動に駈られ背筋が寒くなった。テロなどに使われるこのような凶器が市販されていると云う、正にアメリカの闇に遭遇したのだった。
人々の話では、道路を挟んだ向かい側の森の向こうに、ドラッグを栽培し取引しているらしいいかれた男たちが住んでいると云う。事件などとは無縁のパトロールなど皆無のこの平和なアーミッシュ村の一画を借りるとは、考えたものだ。
事が起これば、自らの不運や現況を、外観やルーツの異なる人間に責任転嫁しがちな輩であるのか、白人至上主義でアジア人が目障りだったのか、ただの脅しと悪ふざけだったのか、その本意は解らない。が、ここはベスト・セラーとなった『ヒルビリー哀歌』の舞台であるオハイオでも代表的な郡であることは確かだ。
ハリス家の果敢な15歳の長男は、これ以上何かしでかしたら刑務所に入るだけだぞと言い放ってやったと云うのだが、私は心中穏やかではなかった。それにしても頼もしい。アメリカンボーイの気骨を感じさせ、私を大いに感動させた。
ある時、大手銀行の支店もない不便さに、地方銀行での口座を開く手続きに出かけた。銀行員に、週末ともなるとこの目で確かめたわけではないが、客らしき車の音が増え、翌朝に降りてくるなんてことを話した。すると彼は直ぐに警察に告げるべきだと言う。オハイオは好い処ではあるが、ドラッグだけが問題なのだそうだ。彼の住居近くでもドラッグ絡みの犯罪やら事件が後を絶たないらしい。そう言えば図書館にも、そのような啓蒙ビラが貼ってある。しかし、東洋人など皆無のこの地で、警察に行くのはいささか怖い。報復でもされたらと、、、躊躇しているうちに、何故かぱったりそのような気配が消えた。彼らは引越したのか、あるいは何かまずい事が生じたのか、、、村は何事もなかったように平穏さを取り戻し、クワバラ、クワバラ、私は胸を撫で下ろした。
その点、危険な都市と思われているマイアミの方が遥かに穏やかな暮らしだった。住宅地には車中からリモコンで入口の門扉を開閉しなけれな入れない。不審者は直ぐに目につく。セキュリテイ・システムのアラームは5分ほどでポリスが駆けつける。夕方の散歩でさえ危機感を覚えたことは一度もなかった。安全は環境で買うと言われるように、無法地帯は限られた地域だけだったから。
よくしたもので人間の不安や緊張感と云うものは、そんなには長続きしないように出来ているらしく、いつしか新鮮な日常に掻き消され、倖いにもその件はそれっきりだった。
しかしながら、車で10分余りの田舎町は、映画館やモールもなく、町中のレストランは軒並み及第点には程遠い酷いものばかりで、美味で変化に富んだベイエリアとは雲泥の差だ。時折一時間あまりかけて食料品の買い出しに出かけるトレーダー・ジョーやホール・フーズのあるダブリンこそが、自分には一番心地よく長年のライフ・スタイルに合っているように思われた。果たしてこの生活圏に耐えられるか、前途が危ぶまれた。
が、住めば都とはよく言ったものである。
私は、次第にこの何の変哲もない田舎町が大好きになった。クロガーではオーガニックの野菜、果物、肉、パン、ジュース等々、その良心的な値段が、メンバー登録で更に安くなる。スーパー・フードの滋養豊かなオーガニックのジュースも消費期限が近づくと、かなり早くから1ドル29セントの超特価となるwhoohooのラベルが貼られる。夏は、二つで3ドルの甘い無農薬の西瓜や、パウンド(約454グラム)1.99ドルと云う無農薬の甘い大粒のテーブル’グレープは、片手サイズ4房で400円もしない。美味しいスペア・リブも、二人で食べきれぬほどの量で5ドル弱。マイアミでは、週末になると店頭で焼かれるノーマン・ブラザースの名物のスペア・リブは、もっと高価で、待ち時間も長く、直ぐに売り切れになったものだ。
その上、カードのポイントは車の給油に利用できる仕組みだ。キャッシャーやパッカーのスタッフもおおらかで好い人が多く、ほぼ毎日通うのですっかり顔なじみになった。
また隣接するアルデイでも、様々なオーガニックの食料品がアウトレット価格で手に入る。自分で料理をすれば、レストランが最悪でも問題はない。当初は車で一時間半ほどのジャングル・ジムの多様性に惹かれたが、さほどその必要性も感じなくなった。
他州の大都会では不可能な、物価、税金、不動産の安さを思えば、オハイオの田舎町は限りなく魅力的な場所とも云える。おまけに流通の良さもあってか、アマゾンや東部の書店の配達も、カリフォルニアとは比較にならぬ速さだ。
そして、ジャパニーズ・マーケットでは、我々日本人にとって不可欠なお米やちょっとした日本食、例えば納豆やお菓子などは、無農薬米を除き日本国内の値段とほど変わらぬ定価で販売されている。もう少し値上げしてもいのにと心配したくなりほどの良心的なオーナーは、恐らく典型的な古き良き日本人の方なのであろう。ミツワ、ニジヤなど他州では、日本国内の倍位の値段が普通だった。
確かにオハイオは平均所得が低いのであろう。そこかしこに1ドルストアがあり、それほど需要があるのかとびっくりする。カリフォルニアではあまりお目にかかることはなかったし、小さなモールにオープンしたその手の店は人気がなく、確か潰れたような記憶がある。アメリカの選択肢はピンからキリまであり、その所得に応じ生活できることをよく物語っている。
物価の安さ、鷹揚で太っ腹な田舎の心地よさを感じさせる人々のホスピイタリテイは、長年都会生活しか知らなかった私に『住む』と云うことの意味をあらためて教えてくれたような気がする。またまさかの折りの病院は大切な条件でもあるが、コロンバスの大学病院はレベルが高く優秀なドクターも多い。ドクター・ヘリの活躍を目にすることも多く、いつぞやも子供達と川遊びに行き、そこでの臨機応変、迅速な搬送作業を目の当たりにした。アメリカのERはパラメデイックを含め、その対応、連携、技術共に凄いと思う。
町の入り口にあり、あまりにもシンプルな景観と外食は絶対無理だろうと決めていた為、いつも通り過ぎていたピザ屋のヴィカリオ。それは以外とビンゴだった。くたびれたTシャツにジーズあるいは短パン、典型的なやや肥満気味の中西部の田舎の香りに溢れた人々が、テークアウトを待っている。大抵は大きなピザを二箱位。
私が買い求めるのは、ちょっと軽食にと一つ1.99ドルのガーリック・パンと、メニューにはないがエスプレッソ用の豆で淹れたブラック・コーヒー。大きなマグカップほどの量でたったの1ドル。人々が美味しいと云うテイム・ホーソンの甘ったるいカフェラテよりも格段に美味しい。そして食べ盛りの少年たちに持ち帰る直径20センチ深さ5センチほどのアルミ箔の器山盛りのフレンチ・フライは二つで立ったの4ドル。同胞のアル・パチーノの往年のポスターが貼られただけの簡素な店内は、厨房と座席がほぼ一体になったような感じで、気前がよく明るい数人のイタリア人がピザを焼いたり、電話の応対をしたりと汗を流す。いつぞやは、20センチもあるような大きなカップにコーヒーを淹れて下さってびっくり。この家庭的な雰囲気は、アメリカの田舎に住むほのぼのとした心地よさをしみじみ感じるひとときでもある。
カルフォルニアでは、しっかりとした玉ねぎやレタスとハンバーグが絡み美味しいと感じるイン・アンド・アウトにごくたまに出かけることはあっても、そのカロリーを考えるとあまりこの手の店には行かなかい。炭酸飲料も滅多に飲まない。けれども、田舎生活のおかげで殆ど行くこともなかったマクドナルドで、ささやかな楽しみを見つけた。スタバもない。出先で温かい飲み物が欲しくなる時がある。マックのカプチーノはたったの2ドル。アメリカ人がスモール・サイズを注文するのは稀なのか、タッチ・パネルでは注文出来ないので口頭のみ。郷に入れば郷に従えではないが、何処にでもそれなりの楽しみがあり、人間はうまく順応できるように出来ているものだ。そして住めば都、暮らしは自分自身が作るものだと、しみじみ思う。

兄アンドレアス15歳と弟ステファン14歳



Dear CHIEKO TANEMURA,
It is my great pleasure to inform you that your work has been awarded an Honorable Mention in the 2018 International Photography Awards – Congratulations!
2018年 記
野の花を摘むエミ、2018年、オハイオ州
核家族、携帯電話、電子メール、SNSによるコミュニケーションの変革、婚姻率の低下、少子化と社会自体の変容に加え、消費を煽るように作り出されためまぐるしいまでの流行や商品が蝉のような生命で消滅する日本特有の昨今のミデイア等、母国は浅くて移ろいやすい無機質なものとなった。
私が生まれ育った日本は、簡素質実、物を大切にし、人の和を慈しむ結いの文化や、隣人関係はもとより、子供たちに向けられた地域社会の育の眼差しがあった。シルバー・シート等と喚起せずとも、昔は若者や男性は勿論女性も進んで年配者に席を譲った。電車内で両脚を広げた恥知らずな働き盛りの男性など皆無だった。今日デパートの入口で、後方に来る人を待って扉を開いていると、老いも若きも無言のまま次から次へとやって来ると云う誠に情けない現象にも度々出会う。このような思いやりや感謝の念の欠如は、アメリカ社会では殆ど無いと言っても過言ではないだろう。
そんな中、未だ家族のかたち、地域社会の助け合いを揺るぎない軸とし、近代文明に押し流されることなく、労働を尊び、神の前に誠実であらんとするアーミッシュの生き方に、私は大いに惹かれ関心を抱いた。ハリソン・フォード主演の映画『目撃者』の舞台となった世界だ。
私の住まいは、イリノイ、ペンシルバニア、オハイオ州の中西部を頻繁に訪れることが出来ない他州であったが、数年来機会を捉えては飛行機とレンタ・カーで現地に足を運んだ。カリフォルニアからオハイオに移り住み二年目、なぜか日本語で書かれたアーミッシュだと云うブログが縁で知り合ったハリス家は、実際にはどの宗派にも属さない独自の暮らし方をしていたが、その間十人の子供たちの日常を追いつつ、想像だにしなかった多様なキリスト教の存在を知った。大家の都合で借家を出る必要に迫られ、一家は酪農を営む大家の一画に転居した。特筆すべきは、16歳15歳9歳の長男次男三男で、農場の鶏、乳牛の餌やり、搾乳、芝刈り、干し草作りと日がな一日昼食もそこそこに手を抜くことなく、それどころか要求された以上の仕事をする。水を得た魚のように生き生きと働く笑顔は、心から農夫の仕事を楽しんでいる。巷ではスマホやゲームに夢中になり、友人とのたわいもない話に現を抜かす世代であろう。願わくば、どこもかしこも延々と広がる農地ばかりのオハイオの地に、いつか彼らの夢を重ねる永住の地を得ることを切に願う。
尚、私はこの一家及び親族の方々を通し、ドイツやオランダから宗教の自由を求めこのアメリカに移住したキリスト教徒たちが、様々な宗派を形成、ブルダーホフ、ハテライト、アーミッシュ、メノナイト、ジャーマン・バプテスト等独自の教義と伝統を継承しながら発展したことをつぶさに見る機会の糸口を得たことを心から感謝したい。同時に、広大な麦畑やトウモロコシ畑の四季折々の美しさ、野鳥の観察、ホタルの舞踏会と一夜限りのランタン作り、野花摘み、塗り絵のラブ・レター、母の日に編んでくれた美しい花冠など。。。子供たちと紡いだ数えきれない想い出を大切に胸に畳み、その有り体を被写体として追った日々をくれた子供たちに、大きなハグと感謝を捧げたい。
教会にて語らうアーミッシュの兄妹、2017年、オハイオ州
そして、今年は期せずして、アーミッシュ村に住むと云う好機に恵まれた。随分昔、冗談半分に、ランカスターに住みずっと撮影を続けることが出来たらどんなにいいだろうと思ったことがある。しかし、まさかそのような夢が叶うなんてこれっぽっちも考えていなかったから不思議だ。人生は実にシナリオのないドラマだとしみじみ思う。オールド・オーダー・アーミッシュは、宗教上の理由で写真はご法度。正面からの写真は無論のこと、子供たちを撮るにも、かなりの勇気と瞬時の微妙な視線と笑顔の伝達が必要だ。普段からカメラに媚びたようなポーズや笑顔の写真は好まない私も、瞬間を切り取るのさえ難しい場面に、たじろいだり、悔やんだり。しかしながら、村の男性たちががこぞって助け合う千載一遇の建設現場にも遭遇、正に飛騨高山の茅葺き作業だ。そして400人が集う結婚式のレセプションの料理に勤しむ現場の撮影も許された。村人たちが織りなす建設とキルト作業は、アーミッシュ社会の特徴的な結いのハーモニーを象徴する風景だ。
近隣には親しく言葉を交わせる若いアーミッシュの友人も出来、以前からの願望であった女性たちが集うキルテイング作業に参加する幸運を授かった。女性たちは慣れた手つきで、あっと云う間に数枚の掛布団の糸結びを仕上げてゆく。九月とは言え、猛暑がぶり返す蒸し暑い日の教会には勿論冷房はない。時折滴る汗を拭いながら、朝9時から正午近くまで作業を続け、ポットラック・ランチを頂き実に有意義なひと時を過ごした。帰途、辛子色のの花畑が拡がったような美しい大豆畑を渡るそよ風に吹かれながら、友人が執る馬車に揺られた。己と向き合う写真との日々は、生きることの意味を問う模索と敬虔な祈りのようなものだ。完璧な答えなどない。しかし、その成果はともかく、過去が優しく私を包んでいるような倖せを感じる初秋の午後だった。
また、五月から早々と夏休みに入るアーミッシュの学校の意味も、十分に理解できた。種まき、収穫、牛馬の干し草作りと、夏は一年で一番忙しい季節だ。野菜や果物など、数少ない現金収入を得る機会でもある。小学校低学年位の少年たちが馬の手綱を見事に捌き、干し草作り、家畜用のカラス麦の収穫脱穀と重要な役割を担う。
時に、アーミッシュ特有の少年たちの麦わら帽子は、翼が外れて垂れているが、ここではまだまだ十分に現役。我々の世界ではとっくにお払い箱に違いない。しかし豊かさと物とは全く異次元の話だ。彼らは賃貸住宅やローン付きの持ち家に住む人々より遥かに安定している。何より深い絆で結ばれ、子供や年配者を大切にするた大家族と云う財産がある。何が起ころうとも自給自足の出来る大地と持ち家がある。電気は使わず、井戸水が水道水に代わり、ゴミ収集もなく、コンポストを建前に焼却可能なゴミは持続可能な住環境だ。
桑の実を摘むタリー、2018年、ミネソタ州
一方、ミネソタ州の二箇所のハテライト・コロニーには親しい二家族の友人も出来、オハイオから自家用車で13時間、昨年同様今年も夫と共に彼らを訪ね、数日泊めて頂き、家族同様の歓待を受けた。善良で穏やかなミニマリストたちと友好を温めた日々は、実に楽しいひと時だった。人間味溢れる素晴らしい人々だ。住民が大食堂で揃っていただく昼食夕食も、家族デーの水曜日と日曜日は其々の自宅で過ごす。子供たちが全員巣立ち、今年重職を引退したばかりのレオナード夫妻と共に、車で30分ほどの田舎町で外食を供にした。温かいおもてなしの心ばかりのお礼にと何処かで外食をと申し出たら、スーパー・マーケットHyveeが店内で営業しているカフェを案内された。一皿に好きな物を盛って四人で30ドル以下と云う超格安値段だったが、夫妻に心から感謝され、大いに恐縮した。聖書の教えが、ごく自然に生活に反映されている浄らかな人々だ。
設立当初から住む夫妻は、鷹揚且つ真っ直ぐで温かい人柄。物を大切にし、感謝の心、生かされている存在を忘れない、ありふれた日常にこそある幸せの姿を識っている、信仰とは形ではなく、自らの心を浄く保ち実践することなのだと云うことを体現してらっしゃるように思える。
また、別のコロニーに住む若く美しいドラは心優しい教師で、裏表のない温厚なご両親そのままに日本の佳き時代を彷彿させる娘らしい奥ゆかしさが、その澄んだ青い瞳のように清しい。偶然にも上記のレナードの奥方と同じ名のドラとは美術談義を通し親しくなった。彼女のご両親のマイクとエルマや叔父上、そして同胞の素敵な青年たちウルマン兄弟にも随分好くしていただいた。車の不備が見つかった時も、コロニーの整備専門の方から、それを調達する町の店、配達の手配など迅速な連携プレーは、私の心にそこに暮らす人々の何とも爽やかな善意をひしひしと感じさせた。 アメリカ国内に電力を供給出来るほどの風車や多彩な事業で愕くべき経済基盤を構築した上記のコロニーが『ドイツ人の綿密な知恵と完璧主義が練り上げた壮大な構想と、信仰の自由を求めた敬虔なキリスト教徒たちが築いた王国』なら後者は、程よい経済基盤が未だアット・ホームな心地よさと素朴さを壊さない絶妙のバランスを保つ『信仰の自由を求めた敬虔なキリスト教徒たちが築いた自然に抱かれたユートピア』であるような印象を受ける。ドラの計らいで、夏休み中も開園の園児たちと共に、大きな潅木にずっしり実る甘くて美味しい桑の実や、ハーブ・テイ用のカモミール摘みに加わった。社会の垢からは無縁の子供たちの瞳も心も無垢そのもので、りんごの木、ミツバチが群れる赤、白、黄色のクローバー畑に囲まれ、まるでヨーロッパの田舎にいるような、美しい夏の午後だった。きっといつまでも私の心に棲み続けることだろう。
ベスのイングリッシュ・ガーデン、2018年、ペンシルバニア州
片や、独自の確たるビジョンのもと、誠に清しい文明の力の取捨選択をし、例えば上記の宗派では賛美歌以外はタブーであるが、クラシック、フォーク・ソング、歴史や社会情勢を歌ったコンテンポラリー・ミュージックを聴き、井の中の蛙にならぬよう新聞やTVのニュースにはやぶさかでない考え方。教育の重要性も熟知したハリーとベスは、カナダのハテライトを出て、幾多の苦労や困難を乗り越え、精神的な豊かさを軸に宗教色に染まらない、しかし神の御前に恥じない敬虔なキリスト教徒としての魂と、より豊かな人間性の充実を旨に暮らす実業家夫妻だ。この素晴らしいペンシルバニアの家族もまたかけがえのない友人だ。
今年は、生まれて初めてたわわに実るワイルド・ブルーベリー摘みを体験し、大いなるアメリカの自然を満喫した。夜に出没するらしい熊の訪問を物語る人間の足ほどの大きな黒い糞跡も随所にある。長いアメリカ生活でも未経験だったが、その香りと美味しさを楽しむ朝食用の、柔らかくて美味しいパンケーキの秘蔵レシピも教わった。ベスと美大生の娘ベッツイの心のこもったパンケーキはとても美味しかった。
オーガニックの一人用(十分3人分に相当する)の甘い西瓜が二個で3ドルと云う特価が出るのに対し、ブルーベリーは、片手に一杯ほどで5ドル弱。しかも旬の春夏のみだ。市中に出回るベルー・ベリーは高価と云える。冷凍の大袋を常時保存する私は、月とスッポンの雲泥の差の、また畑で栽培されたカリフォルニアのものとも格段の差の美味しさに感激した。10日位は優に冷蔵保存して、生きの良さと香りが楽しめるワイルド・ブルー・ベリーは、腸内環境に優しく働くのだそうだ。が、東西問わずこれほどふんだんに頂くことの出来ない現実を思えば、フィラデルフィアから週末やって来る人々のサマー・ハウスがチラホラ並ぶ、森と小川に囲まれた田舎の醍醐味、多雨がもたらした大豊作に感謝するとしよう。
熟したブルーベリーの灌木、2018年、ペンシルバニア州
ブルーベリー、2018年、ペンシルバニア州
以前、フォト・エッセイ『やさしい時間』でアメリカ人のウイットに富んだ心嬉しいプレゼントについて述べたことがある。今回も、年配のドラからは、心のこもった手編みの冬用の室内ばきを、ドラの母上からは、お手製のキッチンのミトンやマットをいただいた。ベスは、摘み取った大量のブルー・ベリーの葉っぱなどを幾重にも丁寧に落とし、一週間はゆうに頂けるほどの量を傷まぬように荷造りし、ハリー特選の美味しいコーヒー豆を挽いて車中で飲めるよう用意して下さった。その温かな心が、深く心に沁みた。
宗教宗派とは無関係に、心惹かれる人々は、こぞって宗教色を前面に出さず、それでいて清貧の香りが滲み出る真摯な生き方や柔軟な姿勢が自ずと敬虔なクリスチャンであることを物語る。それは歌い手が自身の歌に酔いしれていては、全く観衆に感動が伝わらないのと同様、世の中のあらゆることに通ずるように思えた。
またこの三家族の当主たち、レオナード、マイク、ハリーには、なぜか共通の面差しがある。何れも勤勉で責任感が強く、家族をしっかりと受け止めている男の中の男と云った凜とした強さがある。同様に奥方もまた、子供たちを心から愛し、伴侶をたて、テキパキと家事をこなす。働く伴侶を気遣い食事も手際よく食卓に並ぶ。家は綺麗に整理整頓され心地よい。人が惹かれ合うと云うのは、肌の色、宗教を超え、価値観、倫理観、素養、節度、貪欲でない程々を愛し、人生の楽しみ方に共通点があることではないかと思う。
アーミッシュ小屋の仔猫たち、2018年、オハイオ州
ある時、オハイオでどの宗派にも属さないクリスチャンを自負するご婦人に出会った。
私はどの教師も信用しない。だから自分の子供たちは家庭教育なのだと仰る。また聖書を信じる人を好ましく思い、そうでない人は否だと。
勿論教師全員が完璧とは言わない。しかし其々の専門分野を学んだ人々は、少なくとも学問の上では一主婦以上に専門家だ。
また人の善し悪しはその人の持つ人間性、常識、倫理観であって、クリスチャンか否かではない。そしてまた、学校で様々な背景を持つ級友たちを知ることも、大切な勉強だ。より相手を理解する為にも多様性や間口の広さは必須であると思う。時間の観念、規律、協調性、我慢、衛生観念や手洗いの励行と云った生活習慣も自ずと身につくだろう。ある時、トイレや台所に徘徊する大量のハエを疎ましく思っていると、どうしてハエが嫌いなのかと聞かれ絶句したことがある。不衛生で細菌を媒介するハエの常識は周知の事実だが、閉ざされた世界の非常識と無知は怖いと思った。そうした意味でも、教育は大切だと思う。
だが、私は決して通学しない家庭教育を非難していないことを明言しておきたい。親がこれを実践するには、親自身の教養、ご都合主義にならない忍耐や愛情が必須だからだ。ターシャ・チューダーの息子さんの奥さまが、一旦は公立小学校に通わせた娘さんの様子をつぶさに観察、学校生活を楽しんでいない様子の、自然を愛する娘さんに合ったカリキュラムをご自身で作られ、自宅で教えられる決意をなさった。中途半端な思いつきでは出来ない、大きな展望、細やかな愛情、そして何より親自身がそのことを楽しむ精神的なゆとりが要るだろう。誰もが簡単に出来るものではない。それを実践なさっていらっしゃる親御さんには敬意を表したい。
どの世界でもそうであるが、もっともらしい似非クリスチャンの偽善者も大勢いる。それは聖書やキリストの名を借りた神聖なものへの冒涜であり、聖書を持たぬ人間よりも愚かで悪質であると言える。クリスチャンでなくとも、人間としての決まり、節度、規範、道徳、美徳は幼児より家庭や学校で教えられ、大方の人間は常識として自然に身についているものだ。そして何より、宗教とは良き人間になるための道しるべでなくてなならない。何人も日々、そして一生自分を高める努力を忘れてはならない。残念ながら、幼児より聖書を手にしながら、聖書の教えの解釈はもとより、人間としての基本的なルールが実生活に何一つとして反映されていない現実をも垣間見、大いに驚愕した。その点、コロニーなどの組織の中の子供たちは、その中で運営される学校で科学や外国語なども含む質の高い教育を受け、キリスト教徒の本分たる美徳も身につけ、抑制の効いた人間性が培われているように思えた。
アーミッシュ、ハテライトの撮影プロジェクトは同時進行中だが、上記のペンシルバニアのハリーのご尊父が昨年他界された、カナダのハテライト・コロニー、マニトバのプリーストであられた。瀕死の火傷に泣き言ひとつ言わず耐え、医師から両手の切断を余儀なくされたのを拒否。人間の限界と不可能に挑戦し、諦めることなく手のリハビリにひたすら励み奇跡的に治癒。不自由なその手で熊と格闘されたりと。。。天は自ら助くる者を助くを体現されたかのようだ。真の聖職者と云うのは、きっとそれ以前に人間として立派で魅力的な方なのだろう。実に勇敢且つまた人々や家族に慕われた方であったと伺った。己の野望の為に怪しげな新興宗教を目論む輩とは真逆の、人々の為に身を投じる献身と奉仕の精神が溢れている。是非とも、その地を一度訪れてみたいと願っている。
個人的には、長年来の親友を失うと云う未だ癒えぬ喪失感や、家族の難儀など様々なことがあったが、その瞬時を己に誠実に、困難から逃げることなく最善を尽くす努力を続けるなら、光は射すものかもしれない。きっと人生とは、試されている己と向き合うことなのだろう。
不思議なご縁を頂き、単純な出発であったアーミッシュの探訪が、今や私の世界観を大きく広げた。中西部を識らずしてアメリカを語れぬだろうと思えるほどに、この大国を理解する上でも、大いなる収穫であったと言えよう。明日がどんな顔で私を待ち受けているのか、この私にも全く解らない。まるで木漏れ日に輝く川に浮かべた笹舟を追う子供のようなワクワクした好奇心と、人生は決して自分の力では到底及ばない多くの人々の善意に生かされながらあるのだと云う深い感謝の思いを胸に、暫し眼前の道を踏みしめて行きたいと思う。
エレン・ボール ー追憶ー
アメリカでの母であり姉でもあった、私の愛すべき永遠の貴婦人エレンが亡くなった。
未だ父の死の自覚さえ曖昧なのに、愛すべき人たちが次々とこの世を去る辛さは耐え難い。
エレンとは、何と多くのひと時を過ごしたことだろう。
ストリート写真や都市開発プロジェクトの撮影、週末の画廊巡り、食事やお茶、書店、ビーチ
エレンの家で、よく彼女の夫であるイアンの手料理とワインを楽しみながら、のどかな午後を過ごしたこともあった
彼女からは多くのことを学んだが、作品を引き立たせる為のレセプションでの装いは白黒が好いと云う認識も身についた。
フォトエッセイ『やさしい時間』にも記したように、
壁に飾られたリチャード・アヴェドンが撮影したと云う彼女のポートレートさえ、彼女は自ら話すことはなかった。
彼女が名門ファミリーの一族で、同期のロバート・レッドフォードとプロダクションを起こした女優云々、
そのような華やかな過去や、飛行機はファースト・クラスしか乗ったことがないなど、、、
私が識ったのは、彼女と出会って一年後のことである。
彼女はとても謙虚で、容姿同様心もチャーミングな女性だったから。
シルバーが大好きで、銀色の大きなブレスレットやペンダントがよく似合った。
高価な貴金属やブランドの衣類にも大して関心がなく、個性ある装いを好んだ。
『ちえ子 見て! これね、Kマートで買ったのよ』とおどけて見せたりした。
人生にとって何が大切なのか、彼女が女優時代に学んだように、彼女は主役と脇役の真髄を熟知していたのだろう。
けれども、その育ちの良さ、知性と気品あふれるさりげない所作、香るか香らないかの香水の嗜みなど、匂いたつ華があった。
自然と人を惹きつける芍薬のような艶やかさと併せ持った庶民感覚、それこそがエレンだ。
残念ながら、私はマイアミを離れて以来、彼女に再会する機会を失っていた。
彼女が、何度も何度も、彼女の大好きな古巣ニューヨークを案内するから、一緒に行こうよと誘ってくれたのに。。。
このような永遠が来ることを想像だに出来なかった愚かな私である。
彼女の前夫の兄宅で長年働いているチリ人のお手伝いさんがとてもフォトジェニックで、
是非ともハッセルで白黒写真を撮りたいと思っていた私だった。
エレンは、音楽家の息子が住むウイーン、古巣のニューヨーク、ドキュメンタリー・フィルム作家の娘の拠点テキサスと、
旅行する度、いつも旅先から絵葉書が届き、撮影のメモにと美しいノートをお土産に持ち帰ってくれた。
誕生日のプレゼントに、エレン自らが撮り、そのプリントを貼って作ってくれた写真集のタイトルは
『ちえ子とセントラル・パーク散歩』。
彼女の想いが今更のようにに伝わり、心に刺さる。
彼女が大好きなテニスも幾度か誘われたことがある。
私が住む住宅地は、住人が自動的にクラブメンバーになっており
プール、テニスコート、ゴルフコース、ジム等が目と鼻の先にあった為、
平日は忙しく、オフの時についつい手近なところで済ませていた。
彼女の家まで車で30分もあれば行けたのに、今となっては悔やまれるばかりだ。
しかし、私が他州に引っ越した後、膝を痛めたエレンがテニスも出来なくてなり自宅にいる時間が増えたとの知らせ。
ボーリングが最大の趣味である日本にいる私の母が、激痛で整形外科通いだったものの
グルコサミンとやらが効き、通院も不要になったとのこと。
それを思い出し、日本からサプリメントを取り寄せエレンに送ったところ、奇跡だと喜ぶほど効果があったそうだ。
けれども、病気が進行して連絡が取れなくなり、彼女は再びラケットを握ることはなかったようである。
カメラ、テニス、アート、クラシック音楽、選挙運動、愛犬の散歩、またアーテイストが多く住む地域でのその活発な交流等々、日々生き生きと活動していた彼女にとって、
自宅に鎮座することを余儀なくされた時間は、さぞかし針の音も虚しく退屈であっただろうと思われる。
刺激と会話が極端に減少した環境とアルツハイマーの進行は、少なからず影響があったのかもしれない。
私にはあの日の彼女があまりに鮮烈で、決して色褪せることはないだろう。
だから、お別れを受け止める努力はしない。
エレンは、永遠に私と共に生きているから。
『ちえ子、ママの言うことを聞きなさい!』おどけた彼女の声が今も聞こえる。
Dear Chieko,
CONGRATULATIONS on being a Winner at the 11th Annual International Color Awards.
5,642 entries were received from 73 countries and your work received a high percentage of votes overall. Certainly an achievement, well done!
The Jury represented the industry’s biggest names and tastemakers including Christie’s, Paris; Grey Group, New York; The Art Channel, London; Ogilvy & Mather, Amsterdam; Publicis Conseil, Paris; Preus Museum, Norway; Art Beatus, Hong Kong; Netflix, Los Angeles; Whitechapel Gallery, London; and Phillips, New York who reviewed the entries online before making their nominations and honoring 709 title awards and 730 nominees in 33 categories. The Awards could not have wished for a better group of professionals to work with.
Congratulations once again, we wish you a most successful photography year.
Basil O’Brien
Creative Director
FOR IMMEDIATE RELEASE
CHIEKO TANEMURA OF UNITED STATES WAS AWARDED HONORABLE MENTION
IN THE MONOCHROME AWARDS 2017 COMPETITION
MONOCHROME PHOTOGRAPHY AWARDS ANNOUNCES WINNERS
OF MONO AWARDS 2017 COMPETITION
London, UK (14 January 2018) – Photographer Chieko Tanemura of United States was Awarded Honorable Mention in People for the winning entry Regina Preparing Beef for Sunday Lunch at prestigious Monochrome Awards honouring Black & White Photograph
The 2017 Monochrome Awards received 8942 submissions from 87 countries around the world. Winning images were selected by panel of international judges, including: Pia Elizondo, Michel Rajkovic, Ben Nixon, Norma I. Quintana, Martin Stavars, Allison Barnes, Katarina Balgavy, Claire A. Warden, David Johndrow and Stefano Brunesci.
*新年明けましておめでとうございます。
2018年も相変わりませず、どうぞよろしくお願い申し上げます。
……………………………………………………………………………………………………………………………………………
*写真集『So Sweet to Come Home to』〜心が還る町〜
152ページ・ハードカバー 十二月Blurbよりリリースのご案内です。
この本は、『My California』の改訂版ですが、今年度の写真も加え、内容を刷新いたしました。
温暖で多様性に富み、食文化の発達したカリフォルニアは、日常生活の快適さはもとより
豊かな被写体に溢れた写真家の心を捉えて離さない場所ですが、
長年住み慣れたカリフォルニアは、他州に移った現在も、
やはり私にとりましては、大切な想い出の詰まった、
永遠までも『心が還る町』であるようです。
*写真集 『道草:Touching Beauty in the Mundane』
122ページ・ハードカバー 十一月Blurbよりリリースのご案内です。
神々しいまでの自然の瞑想
秋の静寂を這うような 風の子守唄に そっと耳を澄ます
輝く陽光に揺らめく そよ風のささやき
ほらっ 見て 幾重にも重なる時を映すパテイナの美しさ
人々の楽しいひと時が物絵巻物のように透ける 古いダイナー
天井からのレンブラントの光は グラスの水さえバカラよりきれいよ
壁に束ねられた古い電線は 優雅な曲線のライブ・アートだわ
魚屋さんの魚たちの微妙な淡い色合いは まるで絵画展のよう
朝の散歩の花や景色は いつも私を捉えて離さないし
いつだって私はうっとりと見とれてしまう 子供たちに注がれるやさしい眼差し
素朴な暮らしや受け継がれる伝統の美しさの気高さ
私の周りに溢れる美しいものたち
生きることの歓びと倖せを映しながら
ささやかな暮らしの中に光る美しいものたちは 泉のように不滅だ
*写真集 『Reminiscences of Good Old Nippon』
148ページ・ハードカバー十月三日 Blurbよりリリースのご案内です。
*写真集 『Reminiscences of Good Old Nippon』
まもなく編集が完了の予定です。
今朝、九月二十九日、書家の原雲涯先生より直々の嬉しいお電話を賜りました。
感謝感激です。
先生の書は、躍動感のある優美な流線と、
繊細な筆さばきが奏でる、旋律を孕んだしなやかな空間
白黒の映像美を濃縮した究極のミニマリスト・アプローチは
叙情溢れる、正に芸術の世界です。
絹を纏った貴婦人が、風と踊っているような 秋
このような美しい書を四季のタイトルに拝受いたしまして、
稚拙な我が写真が、縮こまっているようです。
もっと精進しなければと、反省いたしました。
人生はいつも予測の出来ないドラマですが、
今日の日もまた 全く想像だにしなかった大変有り難く、心踊る、記念すべき日となりました。
人生と云う、未知なる遭遇に乾杯!
原雲涯先生、本当にありがとうございました。
*Int’l Photography Awards
PRESS RELEASE | |
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FOR IMMEDIATE RELEASEInternational Photography Awards Announces Category Winners of the 2017 Competition!This year, The International Photography Awards received 14269 of submissions from over 165 countries, and is pleased to declare that Chieko Tanemura was awarded Honorable Mention in People – Lifestyle for the winning entry Gleaners. |
*Monovisions Photography Awards
*長々のご無沙汰お許しくださいませ。
日本の原景シリーズの一貫として、醤油の寒仕込みにお招きくださいました本地さま、
現地での撮影に追われ、シリーズの編集もそのままに月日が過ぎてしまいました。
また夏休みの帰国ラッシュでうまく帰国の航空券の調整がつかぬまま、今年は撮影が叶わず、
『子供歌舞伎保存会』の皆様にもご迷惑をおかけいたしましたこと、
心からお詫び申し上げます。来年の舞台に向けて、既に元気なお顔が勢ぞろいとのお知らせ、
充実した日々でありますよう、お祈りいたしております。
皆様にはご無沙汰ご迷惑、重ねてお詫び申し上げますと共に、
残り少ない夏の日が、穏やかで心に残る日々でありますように願っております。
2017年 8月 晩夏
* 新刊『私のカリフォルニア』アンソロジー写真集のお知らせです。
主にベイエリアを中心に捉えた風景、海、街模様に加え、ゴーストタウン、東シエラネバダ山脈近郊、デスバレー、中央カリフォルニアと、、、古き良き時代が香るダイナー、静物も含むカリフォルニアのアンソロジー写真集です(162ページ ハードカバー Blurbより)カリフォルニアは、その温暖な気候、文化の多様性が育んだ食通をも満足させる豊富で手頃な食の選択肢、自由と平和を愛する心、保守性を併せ持ちながらチャレンジすることにやぶさかでないしなやかさ、環境運動の先駆者としてのより良い地球への関心度、豊かな大地がもたらすオーガニック野菜や果実の充実と、、、シリコンバレーを筆頭にIT企業の発展で高騰し続ける地価や税金などの問題を除けば、カリフォルニアンたる恩恵と倖せは、誰もが大いに感じ入るところです。
光と影、色合いや質感が放つ変化に富んだ美しい景色に恵まれたカリフォルニアは、写真家の心を捉えて離さない、尽きない被写体に溢れた魅力的な場所です。この写真集は特別なプロジェクトと云うより、むしろ生活圏や道すがら思わずシャッターを押したイメージを中心に編集いたしました。古くは、Edward Weston, Ruth Bernhard, Ansel Adamsと数多くの著名な写真家を輩出した地でもあるカリフォルニアは、正に写真家にとっての理想郷であるのかもしれません。
*THE PHOTO REVIEW
2016 Competition Web Galleries
Below are our 2016 Competition Web Galleries, which display entries specially selected by our Editor, Stephen Perloff, and other Photo Review staff.
The 2016 competition was juried by Malcolm Daniel, Curator in Charge of the Department of Photography at the Museum of Fine Arts, Houston. For more information about our annual competition, visit our Competition page.
View our 2016 Competition Prize Winners Gallery to see the prize winners only.
View our 2016 Competition Winners Gallery for additional photographers selected by our juror for display in our web gallery and print journal.
Many thanks to Sara Shields for her help with posting the web galleries. Stay tuned for information about our 2017 Competition
テーマ TWO OR THREE: デジタルカメラを持つアーミッシュの少女たち、2016年ペンシルバニア州
テーマ INTERVENTIONS OH THE LAND: 洗濯物に積もる四月の雪 2016年ペンシルバニア州
*ヒルビリー哀歌
追記:現在作者はカリフォルニアを去り、故郷のオハイオに帰郷。現地で企業を起こし、自らの経験を地元に還元する方法を模索実践中。
*和子さんから届いた 美しい誕生日の花束
ほのかな甘い薫りが 部屋に満ちて
パステルカラーの花びらが 春の訪れを告げるようでした。
大きな花瓶から 10日後小さな花器2個に移し替え
軽やかなチュチュのようなスイートピーを うっとり見つめながら
静かに 四月からの大草原での暮らしを想っています。
*友人アナから届いた素敵な写真です。
日本の古机に佇む桜貝色のチューリップと 彼女のひとり娘マチルダの表紙で飾られた写真集との 薄紅色の共演
さりげない暮らしの楽しみ方を垣間見るような 西洋のインテリアの美しさです。
*新年明けましておめでとうございます!
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
子供の情景 NACREOUS INFANCY『真珠の輝き』の新刊リリースのお知らせです。アメリカ、日本 そしてガテマラで捉えた
子供たちの写真集は,150ページのハードカバーにてBlurbでお取り扱いいたしております。
お茶のひととき、是非お立ち寄りのほどご覧くださいませ。
*フォトエッセイ『やさしい時間〜異国の空の下で〜』国内制作版只今Amazonにて販売中です.
編集改訂・新規出版の為、この限定版は完売いたしましたので、廃版となります。2020年装いも新たに、日英最新版が完成いたしました。
忘れられないあのひととき やさしい時間をご一緒に.
*高橋めぐみ様から 嬉しいレビューをいただきました。
*歌姫 藤田恵美さまから 嬉しいレビューを頂きました.
*『私のいやしの...心のよりどころ本の一册になります』K様からのお便り
*Amazonレビュー *****とし坊様
*Really wonderful !! 何処にでもある風景、でも特別な描写で捉えているのは、お見事です.多忙な中のひとときに、コーヒーを飲みながらほっこりさせて頂きました.ありがとうございます.次の作品もたのしみにしております.』あおによし様からのメール
*読売新聞2016年12月1日 中村和男記者 タイトル『古き良き光景撮影し記す』- 本文割愛。
読売新聞掲載の写真 左 ハローウインナイト2008年カリフォルニア州キャンベル市
右 sax’s Joint 2014年カリフォルニア州サンフランシスコ近郊ペタルマ市
*Dear Chieko,
CONGRATULATIONS on being a Winner at the 11th Annual Black & White
Spider Awards with: Honorable Mention in Children of the World | Little Amish Girl
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*新刊写真集二册リリースの御知らせです.日米の若者を撮影したポートレー写真集 LIME SODA ライムの馨りはハードカバー106頁.また日米の花と植物を撮影したカラー及び白黒写真集 REVERIE 幻想曲は ハードカバー108頁.Blurb.comにてお求めいただけます.プレヴュー画面にて一部ご覧いただけますので,お立ち寄りくださいませ
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*皆様 フォトエッセイ『やさしい時間』のたくさんのお問い合わせありがとうございます.残念ながら 昨年末発行の画紙厚紙ハードカバー特別版は完売いたしております.二三の印刷&テキストミスにも拘らず お求め下さり ご愛読いただきました皆様には 心よりお礼申し上げます.高品質厚紙とハードカバーに加え 海外からの送料と価格が膨らみます為 日本国内にて普及版を制作 準備万端三月リリース予定でした.が 完成品を手にし 品質の烙差がかなりあり 再度その手段を模索せざるを得なくなりました.昨年 一般非売品ではありますが 子供歌舞伎保存会関係者各位のご依頼により制作いたしました写真集は 皆様に大変喜んでいただきました.柔らかな紙質とハードカバーのぬくもりは 何だかほっとするような やはり特別なものがあります.そのような経緯も含みまして 写真集同様 今現在 私が描かんとする景色にいちばん近いと感じるこのスタイルを大切にすべく 折を見つけ 手直しと画像の追加をしたNewバージョンを作成する予定でおります.つきましては 日本国内印刷版及び海外制作版 どちらも今暫くお時間をいただくことになってしまいましたが どうぞよろしくご理解のほどお願い申し上げます.応援して下さいます皆様に 心より感謝申し上げ 一日も早くリリース出来ますよう努力いたします.
* 全米一の荒波で サーフィンの技を競う2015年季節の開幕となりました.キャピトラ サンタクルーズ パシフィカ モントレー等散歩の傍らのんびりとサーファーを眺めていた私にとって Mavericksと云う存在は愕きでした.カリフォルニアのハーフムーンベイの外洋に面した奥まった処は 全く異なる様相を呈しています.カメラに気を取られ ビーチ入口の警告看板をうっかり見過した私は 大変な事に(笑)偶然練習に来ていたサーファー アンソニーの写真を撮っていたのですが 彼が海に繰り出したあと もの凄い波が.思わずカメラを抱きしめたのですが 死ぬかと(笑)波の力が今まで経験したことがない強さで 何かの漂流物なのか ガツンとすねに当たり 少々出血 かなり腫れました.足を取られないようにするのが精一杯で 波に攫われなかったのが奇跡と思われるほどの経験でした.因に私は泳げません.震災の津波がいかほどであったか 期せずして自然の脅威を体感いたしました.それにしても 海に繰り出したアンソニーの姿は 見えないほど波が高いのです.かなりの精神力と並々ならぬたゆまぬ修練と技が要求される 孤独で果敢なスポーツだとしみじみ感服.正に彼はアメリカンボーイだと思いました.Fearless Mavericks Surfer Anthony Tashinick
* お陰さまで 無事 写真展『歌舞伎童子』を終了致しました.ギャラリー慧のオーナー山口恵子さまには大変お世話になりました.作品の展示及び撤収のお手伝いをはじめ 常時シッターもしていただきまして ご来場の皆様には熱いお茶をお出しいただきました.心よりお礼申し上げます.またご来場いただきました多くの皆様 本当にありがとうございました.松の会関係者各位 こども歌舞伎の団員の皆様とご父兄の皆様 写真愛好家の皆様 画家の皆様 遠くからお運びくださった皆様 毎日お客様をご案内下さいました中井礼子さま オーストラリアからご一家で来日の本田ラグビーのコーチの奥様 友人のアナにもご来廊いただきました.多くの出会いと楽しいひとときで あっと云う間の個展でした.みなさま 本当にありがとうございました.
Anna, thank you so much for visiting my exhibit at Gallery Kei.
*フォトエッセイ『やさしい時間』限定版は11月にリリースされます.12月より市販の予定です.長いアメリカ暮らしの中で 心に響き 今も棲み続ける風景を ゆっくりと紐解き 紡いでみました.思い返せば 何と多くの方々から たくさんの倖せを戴いた事でしょう. 彼等は 野に咲く一輪の花の儚さと健気さに立ち止まり ウイットに富んだ自分磨きをして 確かな物差しを育みながら 人を愛し 家族を慈しみ 生かされている自分自身をよく承知している そのような人々であったように思います.
人々に共通していたのは 物理的な豊かさとは関係なく眼差しに心が宿り 言い訳を好まず 自ら編み出す勇気とめげない心で 平凡な市井の暮らしを愛する人々でした.
今回 私は写真家ではなく 追想をたぐり寄せ編む者です.常夏のフロリダ 温暖なカリフォルニア 大草原 そしてカナダ スペイン 中南米と、、、その折々のオルゴールと感嘆符を みなさまと分ち合えることが出来ましたら とても倖せです.
お知らせ
* Life Framer: Alternative Lives写真展がロンドンで開催されます。また同時に限定版写真集もリリースされます。
*個展開催のお知らせ
*The following images were selected by juror, Harvey Stein
ハーベイスタイン氏審査による46入選作品のうち、入賞作品及びアーテイストは下記の通りです。
Juror’s Award – Mike Zapata’s “Amber’s Lonely Party”
Director’s Award – Lisa Btkin’s “Hooray For Hollywood”
Honorable Mention – Aleksey Nichukin’s “Flying”
Honorable Mention – Sandy Powers’ “I Love My Life”
Honorable Mention – Len Speier’s “Time Out, Roseland, NYC
Honorable Mention – Chieko Tanemura’s “Quinceanera”
Honorable Mention – Sandra Chen Weinstein’s “California Girls #1”
Visitors Choice – to be determined
審査展『Celebrations』
開催日時:2013年11月15日〜12月29日
レセプション:2013年11月23日 & 12月29日
場所:テキサス州ジョンソン市 アマンダスミスギャラリー
*お詫びとお知らせ
今年2013年名古屋で開催予定のショーは、テーマと会場の広さ及び私的なスケジュールの都合で、実現出来ませんでした。ご尽力戴きましたお二方及び楽しみにお待ち戴いた皆様には、大変ご迷惑をおかけいたしましたこと、心よりお詫び申し上げます。尚、来年3月28日から4月2日、名古屋ワキタギャラリーにて個展を予定致しております。会場で、皆様にお目にかかれるのを楽しみにいたしております。
*實廣慶三さんのフルート曲集CDリリースのご案内
此のたび『東日本大震災の復興を祈って:癒しと鎮魂のための』實廣慶三作フルート曲集のカバーとデザインを担当させて戴きました。實廣さんは、公僕としてのお立場上、販売の売上金を被災地の方々にと云う当初の願いも叶わず、また被災地の方々にCDの無料配布と云う形も実現出来なくなりました。従いまして、演奏会にて、これらの曲を演奏し、少しでもこのCD制作の趣旨を広めてゆきたいと考えていらっしゃいます。来年早々には、楽譜の出版も予定されております。このCDをお聴きになられて、お志のある方は、お近くのコンビニ等で東日本大震災のために、ご寄付を願えれば大変有り難く存じます。
*藤田恵美さんの『OMOIYARIのうた』
去る9月16日、津市にて、期せずして藤田恵美さんの『思いやり啓発活動のためのコンサート』に遭遇すると言う好日に恵まれました。アメリカに在って、日系スーパーで借りたTVドラマ『ひとつ屋根の下で』の主題歌、藤田さんがル クプルとして活躍してらした時の『ひだまりの詩』 がとても好きでした。Bryan Adams, Eric Crypton, 若い頃のSuzanne Vegaの曲、Duffy, UB40 そして時にはManu Chao やGin Blossomsの旧い曲等々、、、ジャンルを問わず聴いたりするのですが、、、時として、日本語の持つ情感にどっぷり浸りたくなる時があり、そんな時は藤田恵美さんや、さだまさし、城之内ミサさんが誘う世界で、ひととき私は羽を休めたものでした。
藤田さんの清らかな歌声は、人が知らず知らずのうちに失くしてしまう、永遠の女学生のようなしなやかで無垢な透明感を呼び覚ましてくれます。それでいて子守唄のような包容力のある ヴェールで包まれるような安堵感。木漏れ日の下で光るせせらぎのような心地よさに似ています。
今回、手話を併せて歌われたのですが、異なった視点での、女性の手の動きの美しさをも再発見し、創作活動のインスピレーションをも戴きました。お手紙をお出しいたしましたら、お忙しい中、澄んだ歌声通りそのままに、飾らないお人柄がしのばれる お返事を戴き、『思いやりのうた』が一層心に滲みる初秋の午後です。
*東員町こども歌舞伎*
去る6月3日(日曜)東員町文化会館ひばりホールにて、第17回こども歌舞伎発表会が開催されました。お稽古、リハーサル、本番と、、、元気一杯の子供たちとご一緒させて戴き、本当にありがとうございました。初めて東員町を訪れたのは、麦秋の頃、ちょうど刈り入れ時の麦穂が風にそよぐ美しい季節でした。
いつの時代も、子供たちの明日に架ける瞳の輝きほど、人々を元気づけるものはありません。移ろい行く時代にあって、確かな日本の香りが継承されてゆく光景は、私達の心をほのぼのと包んでくれます。市川梅香先生のご指導、着付けやメークのベテランの方々、お母さま方の陰の力等々、、、多くの方々に支えられて実り、輝きを放つ『作品』を見せて戴いた気がいたします。最期に、いつも大忙しで駆け回ってらっしゃる『松の会』の関谷さまには、たいそうお世話になりました。心よりお礼申し上げます。今年の演目も決まり、既に子供たちはお稽古に励んでいるとのこと、、、今から、秋の再会を心待ちにいたしております。
*やさしい時間*
日本原風景のプロジェクトの一環として、現在、子供たちの情景シリーズ『あの頃は、、、』の撮影に取り組んでいます。 旧き良き時代の木造校舎を検索するうちに、三重県にも素晴らしい木造校舎の小学校があることを発見しました。亀山市郊外の里山にある『白川小学校』です。龍華弘道校長先生はじめ、諸先生方に快くお招き戴きまして、たいへん楽しいひとときを過ぎさせて戴きました。
国の有形文化財に登録されている木造校舎の温もりが、全児童54名をやさしく包んでいるような、そんな小学校でした。
校舎の玄関入り口二カ所には、其々通学方向に分けて、名字ではなくファーストネームと言うとても親しみやすい形で全児童の名札が掛けられています。下校、あるいは欠席の場合は、名札が裏返される為、子供たちの情況が一目瞭然。全国の小学校で展開されている『挨拶運動』も、この白川小学校にあっては殊更必要なく、子供たちはごく自然に来校者にもも元気な挨拶が出来るのだそうです。確かにその通りでした。
『小規模特認校制度』と言うのがあり、亀山市に住所があれば、校長先生の面接の結果次第で、市外、県外からの入学や転校が可能なのだそうです。 子供と共にカブトムシの採集に来ていた市外の父兄が、この小学校に遭遇し魅せられ即座に入学を決断。あるいはインターネットでの検索により、東京方面からも。現在14名の児童が、その制度の恩恵により在籍しているそうです。きっとどんな高名な有名私立校でも得られない一生の宝物を胸に畳んで、子供たちは巣立ってゆくことでしょう。炭造り(現在休止中)、ジャガイモ(今年は350キロの収穫)や蕎の栽培、蚕の飼育等々、人生の先達から実際のノウハウを教わり、体験学習を通しての文化の継承や社会体験を学び、学問以上に大切な情操教育に重きがおかれた教育理念。子供たちは皆、のびのびと明るく元気です。豊かな自然環境、先生方との信頼関係でしょうか。誰もが、もう一度童に戻りたくなるような場所でした。
校長先生のご親切な計らいで、一年生と一緒に給食を戴きました。みんなさっさと完食。私は、負けないように必死でした(笑)とても美味しくてお腹いっぱいになりました。00振りの給食でしょうか。このような懐かしい給食に再び出会えるなんて考えたこともありませんでした。担任の先生は、急いで食事を済まされるや否や算数の採点です。時折子供たちを呼んで、間違った箇所をもう一度質問しています。 正解であれば丸。優劣ではなく、理解出来たかどうかに重点が置かれた素晴らしい教育でした。それが終わると、先生は連絡帳やお知らせ用紙を、個々にセットしてフル回転です。文字通り手作りの学び舎の風景そのものでした。
又、愕いたことに、カナダからの英語講師は、授業のある日は終日学校にいて、あらゆる場面で子供たちと接しています。フラッシュカードのような教材よりもより自然な形で日常会話の習得をと言う、とても穏やかなお人柄の中にも確たる教育理念をお持ちの校長先生の 凛とした姿勢が感じられ、感動いたしました。菜園近くに出没したのでしょうか。『Cockroach !』、子供たちの元気な声に講師が呼応しています。素朴なだけではなく、むしろ都心の公立小学校に負けない英語教育が実践されています。
かけがえのない貴重な体験をさせて戴きまして、校長先生、教頭先生そして諸先生方、本当にありがとうございました。心よりお礼申し上げます。2012年 7月 5日
*WPGA隔年国際写真展*
去る1月19日から2月27日、アルゼンチン ブエノスアイレス市Borges文化センターにて、WPGA主催アルゼンチン文化省、オーストリア、ポーランド、デンマーク、ノルウエイ、ペルー、フィンランド等大使館後援、隔年国際写真展が開催されました。主要新聞の21頁に及ぶカバーやラジオ、テレビ等ミデイアの影響も功を奏し、レセプションには、約450人が出席、またショー開催中一日平均220人、延べ8000人の観客が訪れました。
また、2月14日午後7時から、ブエノスアイレスラテンアメリカンアート美術館にて行われたオークションでは、16000ドルの基金が集まりました。参加アーテイストの寄付によるコレクターの作品購入金は、全てSave the Children及びFLENI(神経疾患の子供達の治療費)に当てられます。オークションで売られた作品とアーテイストは下記の通りです。
Adam Balcerek, Poland, “Calmness”
Nicholas Dantona, USA, “Bleeker Street 1”
Brigitte Carnochan, USA, “Butterflies”
Lucio Carvalho, Brazil, “Complex”
Patrizia Burra, Italy, “Behind the Red Curtain”
Jan Neimeijer, Netherlands, “The Bartender”
Kamil Vojnar, Czech Republic, “Atracted to the Light”
Kamil Vojnar, Czech Republic, “Angel Dream”
Helene Fjell, Norway, “Harmony”
Katernina Bodrunova, Russia, “Surrealism”
Alicia Moneva, Spain, “Incubadas”
Rheana Gardner, USA, “Selfportrait as Venus de Urbino”
Blair Friederich, USA, “3 Spaces”
Sara Umemoto, Japan, “Farewell”
Chieko Tanemura, USA, “Haight Street”
Ragne Sigmond, Denmark, “Fleeting”
個展『春の調べ』
2月14日から3月29日まで 10時から5時(水木曜日定休)
奈良市高畑町1291−3 はなや北川ぎゃらりー
『はなや北川』は 築88年の大正の面影を残す旧き良き時代の木造建築。旧志賀直哉邸に近く 鹿がまどろみ 世界文化遺産に囲まれたこの地域は 日本の原風景を映す古都奈良の静寂に包まれています。今秋ワシントンフォトフイークに参加のバージニア州での小作品が好評にて終了し 今回の個展は小作品45点による初めての試みです。大きなプリントにはない このサイズの持つ親しみやすさ 温もりにふさわしく 現代と過去が柔らかな光の中で交錯する 居住空間のアートスペースは 直線的なギャラリーにはない やさしい表情で 其れ其れの作品を包んでいるように思います。 ギャラリーのオーナーで こだわりの十割蕎麦を作られる 和風カフェ はなや北川のご当主でいらっしゃる吉田さまには 開催にあたり プレスリリースを始め 一方ならぬご厚情とお時間を戴きましたこと 心より御礼申し上げます。
まだまだ寒さがしみる草張月ですが 自然界では既に生命の胎動が始まる季節です。その新生の歓びに人生を重ね2011年を歩んでゆきたいものです。お近くにおいでの節は 是非ともお立ち寄りのほど ほっこりなさって戴ければ たいへん嬉しく存じます。